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1.目的 |
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きのこの写真撮影には、大きくわけて、学術的な記録を目的としたものと芸術的な目的のものがあります。
ここで紹介するのは、学術的な記録を目的とした写真の撮影方法であり、きのこの生態、環境を正確に記録することに主眼をおいています。
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2.機材 |
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いわゆるマクロ撮影ですので、それほど特殊なものはありません。最も重要なのは軽量化だと思います。
なにしろこれらを担いで山の中を歩き廻るのですから、道具が重いときのこを探す前にバテててしまいます。
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分類 | 道具 | 説明 |
必須 | カメラ | 35mm 一眼レフ |
マクロレンズ | 50mm〜100mm程度のマクロレンズ。F値は大きい(暗い)ものの方がよい |
三脚 | ローアングルの設定ができるもの |
フィルム | ISO 100くらいのリバーサルフィルム。「プロビア」など |
あった方がよい | レリーズ |
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レフ板 | アルミホイルを畳んで持っていく |
アングルファインダー |
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体力に自信があれば | ストロボ |
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デフューザ | 白いビニール傘などを利用
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望遠レンズ | 木の上のきのこ撮影するなどの用途で使用 |
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3.撮影方法 |
| 3.1 被写体 |
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きのこの形態がよく出るように構図を決めましょう。 どのような生え方をしているか、どこに生えているか、などの情報も写し込めるように工夫します。
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- 周囲の余分なゴミは取り除く(ただし、きれいにしすぎない)
- ヒダ、ツボ、ツバなど、きのこの特徴がよくわかるようにアングルを決める
- 成菌1本だけでなく、幼菌や老菌、傘の裏なども写し込めると良い
- 生えている地面のようす、環境もわかるように
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| 3.2 ピント、絞り、シャッタースピード |
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絞りを絞るので、暗い林の中では、シャッタースピートが10秒とか20秒になることがあります。ブレないように三脚でしっかり固定します。
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- ピントは傘の前縁から少し奥くらい
- 絞りを絞り込む(F=11〜)
- シャッタースピードはオートを基準に露出を変え2〜3枚撮影
- アルミホイルを下に敷き、傘の裏側に光をあてる
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参考:レンズの性質
ある一点にレンズのピントをあわせたとき、その前後(奥行き)方向にはっきり見える範囲のことを焦点深度(被写界深度)と言います。きのこは立体的な対象なので、全体を写し込もうとすると深度を深めにとることが必要になります。
レンズの性質として以下のようなことを知っておくと役にたつと思います。
- 絞りを絞り込むと深度は深くなる。
- 深度はピントの位置を基準にして手前に浅く、奥に深い。
- 被写体と離れた方が深くなる
- その他、 F値の大きい(暗い)レンズの方が解像度がよい。
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4.その他 |
| 天気 |
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もっとも適するのは薄曇りの日です。晴天は全体に青みがかかります。特に午前中はよくありません。また、木漏れ日が曲者だったりします。
雨の日は暗すぎて難しくなります。
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| カメラブレ |
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失敗はカメラブレが多いようです。しっかりと三脚を固定し、レリーズを使ってシャッターを切ります。レリーズがないカメラはセルフタイマーを使うのもひとつの方法です。
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| 蛍光灯とフィルタ |
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肉眼ではわかりませんが昼色光に比較して蛍光灯の光は緑色を帯びています。
このため、プロビアなどの昼光用フィルムを蛍光灯下で使用する時には、蛍光灯用フィルタを使用します。
泊まり掛けの探索会で、途中から屋内で撮影などという時は注意が必要です。
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